大事をとる 意味 使い方 類語 英語訳 漢字

「大事をとる」という言い方は、病気や風邪などで会社を休む際に用いられます。

ただ、実際に使う際には例えばメールだとどのような文にすればよいか分かりにくいです。そもそも、他人ではなく自分に対して使っても良いのかといった疑問もあります。

そこで本記事では、「大事をとる」の意味や漢字、類語、敬語表現などを含め詳しく解説しました。

大事をとるの意味・語源

 

大事をとる」は「だいじをとる」と読みます。意味は「慎重に物事を運ぶ・軽々しく物事を行わない」といったことです。

一般的に「大事」という言葉は、「大事に扱う」「大事な品」などのように「大切」「重要」という意味で使われることが多いです。ただ、ここでの「大事」はそのような意味で使われているわけではありません。

「大事」は、辞書で引けば分かるように「重大な事柄」「心配な事態」といった意味もあります。そして、「とる」には「手にとる」という意味以外にも、「対処する・運用する」などの意味があります。

この事から、「重大な事柄を対処する」⇒「慎重に事を運ぶ」という意味で「大事をとる」が使われているわけです。

現在では主に、病気やケガなどの体調不良で会社を休む際に「無理をしない」「無茶をしない」といった意味合いで用いられることが多いです。

大事をとるの漢字表記

 

大事をとる」は漢字だと「大事を取る」と表記します。

「とる」を漢字で表記する場合、「取る」か「摂る」のどちらにするか迷うという人も多いのではないでしょうか?

ただ、「摂る」の方は「水分を摂る」「サプリメントを摂る」のように体内に栄養素を取り入れる際に使われます。

すでに説明したように、今回の「とる」は「対処する」という意味で使われています。

「取」という字は「取引」「受取」などの熟語があるように「対処する」という意味が含まれています。したがって、この場合は「摂る」ではなく「取る」と表記するのが正しいです。

実際には漢字ではなくひらがなで書く場合が多いので、必ずしも漢字表記にこだわる必要はありません。

なお、「大事をとる」の「大事」の発音は「じ」にアクセントを置く形となります。先頭の「だ」にアクセントを置く形ではないので注意して下さい。

自分に対して使えるか?

 

「大事をとる」は、自分に対して使うことができる表現です。自分が「大事をとる」と聞くと、何となく自分の事を大事にするという自己中心的な印象を持つ人いるかもしれません。

ただ、ここでの「大事」は「自分を大事にする」という意味ではなく、「心配な事態に対処する」という意味です。したがって、その人の非常事態を避けるという意味で、他人に対してはもちろん自分に対しても使うことが可能となります。

自分に使う際には、「大事をとって」のように副詞的な使い方をするのが一般的です。

例えば、インフルエンザやコロナウイルスなどの病気であれば、周りの人へ移さないためにも自分が大事をとることが必要です。もしも無理をして会社へ出社をすれば、自分の体調が悪化するだけではなく周囲の人へも迷惑をかけかねません。

そこで、「大事をとって休みます」「大事をとって欠席します」などのような副詞の形にして相手へ伝えるわけです。

大事をとるの敬語表現

大事をとる 敬語 言い換え

「大事をとる」は丁寧語を使って相手に伝えますが、会社などの組織内の人へ伝える際は、より丁寧な表現として敬語を使うことを推奨します。

「大事をとる」は謙譲語を用いることにより敬語となります。「謙譲語」とは自分をへりくだって言うことにより相手へ敬意を示す表現です。

例えば、「大事をとって休ませていただきます」「大事をとってお休みさせていただきます」などの言い方です。

「休ませていただく」「お休みさせていただく」などは、自分が休むという行為をへりくだった言い方にしています。そのため、「大事をとって休みます」よりも、より丁寧な表現となっています。

他には、イベントを欠席したり病院へ入院したりすることになった際にも敬語表現を使うことを推奨します。例えば、「大事をとって欠席させていただきます」「入院して大事をとらせていただきます」などの言い方です。

このような言い方であれば、相手に対しても失礼にならず、なおかつ丁寧な印象を与えることができるでしょう。

大事をとるの使い方・例文

 

「大事をとる」は、例文だと次のような使い方ができます。

  1. 大きな怪我ではないと思いますが、今日は大事をとって家で安静にしておきます。
  2. ワクチンを接種後三日間は、仕事や運動を控えて大事をとるように言われました。
  3. 息子は熱があるみたいなので、今日は大事をとって学校を休ませることにします。
  4. 病院へ行って診察してもらったところ、検査入院により大事をとることになりました。
  5. 熱はそこまで高くはありませんが、頭痛がひどかったので大事をとって病院へ行くことにします。
  6. インフルエンザウイルスの感染症の疑いがあるため、本日は大事をとってお休みさせていただきます。
  7. 熱は下がりましたが、他の人に感染する恐れもありますので、大事をとって休ませていただきます。

 

「大事をとる」は「休む」という動詞を付け加えるだけで、相手へ簡単に意味を伝えることができます。ただ、より相手へ伝えやすくするためには、医者からの指示があったことを付け加えるとよいです。

例えば、「安静にするように言われましたので、~」「まだ万全ではないと言われましたので、~」などの文言です。

他には、「周りへ移してしまう可能性もありますので、~」「他の人への感染リスクがあるため、~」などの客観的な事実を付け加えた文言もよいでしょう。

逆に、「体調がまだ完全ではないと思うので、~」「もっと悪化するかもしれませんので、~」などの自己判断での言い方を避けた方が無難です。

この言い方だと、仮に風邪などの軽い症状であった場合は、上司によっては内心快く思われない可能性もあるためです。

大事をとるの類義語

 

「大事をとる(とって)」の類義語は以下の通りです。

  • 一応
  • 念のため
  • 万一のため
  • 万が一に備えて
  • 念押しして
  • 念には念を入れて

「大事をとる」は便利な表現ですが、必ずしもこの言い方をしなければいけないわけではありません。例えば、病気の疑いで会社を休む場合であれば「念のため、病院で検査をしにいきます。」などのように別の言い方で代用することも可能です。

ただ、実際には「一応」や「万一のため」「念押しして」などはビジネスシーンではあまり使われるものではないです。これらの表現はどちらかと言うと、普段の会話や日常的な文章に対して用いられます。

一方で、「大事をとる」はビジネスシーンはもちろんのこと、普段の会話や文章でも使える幅の広い表現だと言えます。なお、「大事をとる」と全く同じ意味の言葉、すなわち同義語というのはありません。

大事をとるの英語訳

 

「大事を取る」は、英語だと「just in case」と言います。「just in case」は「一応」「念のため」などのニュアンスを含む表現です。

英語だと「大事を取る」を直接的に訳すことができないため、このように間接的に表現します。

仮に直接的に訳すとなると、「I am taking a day off for my health.」(健康のために休みを取る予定です)などの言い方になりますが、ネイティブではこのような表現はしません。そのため、「大事をとる」を直接的に訳す必要はないです。

他には、「just to be on the safe side」などの言い方もあります。「safe side」は「安全な所」という意味なので、こちらも「大事をとって」に近い表現だと言えます。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

大事をとる」=慎重に物事を運ぶ・軽々しく物事を行わない

語源・由来」=「大事」は「重大な事柄」「とる」は「対処する」という意味から。

使い方」=主に自分に対して「大事をとって」と副詞的に用いる。

類義語」=「一応・念のため・万一のため・万が一に備えて・念押しして・念には念を入れて」

英語訳」=「just in case」「just to be on the safe side」

「大事をとる」は、社会人になれば一度は使う機会がある表現かと思われます。これを機にぜひ正しい使い方を覚えて頂ければと思います。