『コミュニティから見た日本』は、教科書・論理国語で学習する評論文です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『コミュニティから見た日本』のあらすじや要約、意味調べなどをわかりやすく解説しました。
『コミュニティから見た日本』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①ミシガン大学の「世界価値観調査」では、先進諸国の中で日本はもっとも「社会的孤立度」が高い国になっている。そこには、日本の「家族主義的」な傾向がはたらいている。日本では、「身内」に対しては気遣いや同調性が強く支配するが、集団の「外」にいる人間に対しては、無視か敵対関係が一般的となる。「家族主義的」な傾向が強い国では社会的孤立度が低くなり、逆に「個人主義的」な傾向が強い国では社会的孤立度が低くなるのだ。
②私自身は、「家族主義的」傾向を「農村型コミュニティ」、「個人主義的傾向」を「農村型コミュニティ」という視点で考えてきた。両者はそれぞれ長所・短所をもっており、大事なのはバランスである。日本の場合は、長い稲作社会により農村型コミュニティを形成してきたが、近年では社会の変化に伴い、それが機能不全に陥っている。こうした意味で、今後の日本社会は「関係性の組みかえ」の時代となるだろう。
③今後のコミュニティを考える場合、「地域密着人口」と呼べる「子ども・高齢者」の割合の変化が大きな意味をもつ。子ども・高齢者は現役世代に比べて「地域ですごす時間」が多く、地域の様々なことに関心が向くため、地域の重要性は必然となる。加えて、今後は現役世代の職住近接的な働き方や、若い世代の「ローカルなもの」への関心の強まりもあり、従来に比べ地域との関わりが着実に強まっていくであろう。
『コミュニティから見た日本』の要約&本文解説
本文では、「社会的孤立」をきっかけとして、コミュニティーのありようとその変化の必要性が述べられています。
まず第一段落では、先進国の中で日本がもっとも「社会的孤立度」が高い国であることがデータを元に紹介されています。そしてその背景には、日本の家族主義的な傾向が強く働いていることが述べられています。
次の第二段落では、近年では社会の変化に伴い、関係性の組み換えの時代が到来していることが述べられています。具体的には、日本では長い稲作の歴史によってずっと農村型コミュニティを形成してきましたが、それがもはや機能不全に陥っているというものです。
第三段落では、今後のコミュニティのあり方について述べられています。日本では今後、地域密着人口(子どもと高齢者)が増加することが確実視されています。これは、日本が抱える少子高齢化という構造的な変化によるものです。
こういった地域密着人口が増加していく社会では、「地域」というコミュニティやそこでの人との関わりが存在感を強く増していくだろうという最終的な筆者の展望が述べられています。
『コミュニティから見た日本』の意味調べノート
【概して(がいして)】⇒大体において。一般に。
【必ずしも~】⇒必ず~というわけではない。~とは限らない。
【趣旨(しゅし)】⇒文章や話などで、言おうとする事柄。伝えたい内容の要点。
【回避(かいひ)】⇒危険や不都合な状況を避けること
【ひとしきり】⇒しばらくの間。
【主観的(しゅかんてき)】⇒自分の感覚や考え方に基づくさま。
【額面通り(がくめんどおり)】⇒言葉どおり。物事の表面に現れた意味そのまま。
【慎重(しんちょう)】⇒注意深くて、軽々しく行動しないさま。
【気にとめる 】⇒覚えておく。忘れないでいる。
【特異(とくい)】⇒特別に他とちがっているさま。
【大まかに(おおまかに)】⇒細かい部分を省略して、大ざっぱに全体をとらえるさま。
【逆説的(ぎゃくせつてき)】⇒一見正しくないように見えて、実は真実や本質を含んでいるさま。
【希薄(きはく)】⇒ある要素の乏しいこと
【潜在的(せんざいてき)】⇒外からは見えない状態で存在するさま。
【概念(がいねん)】⇒物事の意味内容。ある物事に対する大まかな理解やイメージ。
【帰属意識(きぞくいしき)】⇒自分が特定の集団や組織に属していると感じ、その一員であることを意識する気持ちのこと。
【相互扶助(そうごふじょ)】⇒お互いに助け合い、支え合うこと。
【比喩的(ひゆてき)】⇒物事を直接的に表現せず、例えを用いて表現するさま。
【灌漑(かんがい)】⇒農地に人工的に水を供給すること。
【醸成(じょうせい)】⇒物事を徐々に育てたり、形成したりすること。
【核家族(かくかぞく)】⇒親とその子供だけで構成される家庭のこと。
【好循環(こうじゅんかん)】⇒物事が繰り返し良い方向に進み、良い結果を生む状態。
【機能不全(きのうふぜん)】⇒本来の役割や機能を十分に果たせない状態。
【過渡期(かとき)】⇒ある状態から別の状態へ移行する途中の期間。
【像を結ぶ(ぞうをむすぶ)】⇒考えや情報が明確な形としてまとまる。
【顕著(けんちょ)】⇒際立って目につくさま。誰の目にも明らかなほどはっきりとあらわれているさま。
【だとすれば】⇒もしそうであるならば。そうだと仮定するならば。
『コミュニティから見た日本』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①コドクな生活をする。
②センザイ的な影響がある。
③ケイシャが急な坂道。
④好ジュンカンを生む。
⑤相手にハイリョする。
まとめ
今回は、『コミュニティから見た日本』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。