『新しい地球観』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。
ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『新しい地球観』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。
『新しい地球観』のあらすじ
本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①二十世紀後半、月にまで足を踏み入れた人類は、自分たちが「宇宙船地球号」の乗組員であることを知った。その後、乗組員の数は増え続け、人口爆発の問題が起こり、人類自体の生存を脅かすようになった。人間がこれからも生き延びるためには、現在の先進国中心の価値観を変え、「人類」として思いを一つにする必要がある。それにはまず、国や人種の相違を超えて多くの人が感動することに目を向けることである。
②世界地図には、それを作り出す人の持つ世界観や制作意図、考案されたときの時代背景が映り込む。鳴川肇さんが発明したオーサグラフ地図は、三次元の球体である地球の表面を、陸地と海洋の面積比をほぼ正確に保ちながら、二次元の平面に投影して作っている。地球全体が連続的につながっているのだ。これは、「世界に中心はなく、一つにつながっている」というメッセージである。
③宇宙から見た地球は、メルカトル図法でイメージしていた地図とは全く違うものだった。世界地図は知らず知らずのうちに、見る人の世界の見方を形作り、固定化する。宇宙から見ると、世界に中心など存在しないことがよくわかる。私は、未来を担う子供たちには、新しい地図を使って、新しい世界観、新しい地球観を培ってもらいたいと思っている。そう考えて現在、鳴川さんのオーサグラフ地図を使ったプロジェクトでは、地球と人類、そして生命についての知恵を深め、未来のビジョンを作り上げることを目指している。そして、「生命のつながり」を一人一人が実感し、地球の未来のために、今何をすべきかをともに考えている。オーサグラフ地図には、視点の転換による感動がある。その感動を人類全体の価値観にまで高めたいと思う。
『新しい地球観』の要約&本文解説
『新しい地球観』の解説
筆者は、人類の未来を考えるために、新しい視点が必要だと主張しています。特に、先進国中心の価値観を改め、「人類全体が一つである」という意識を持つことが重要だと述べています。
その具体例として、鳴川肇さんの「オーサグラフ地図」を紹介し、新しい地図が私たちの世界の見方を変える可能性を示しています。
本文の内容
20世紀後半、人類は宇宙へ進出し、地球全体を「宇宙船地球号」として認識するようになりました。しかし、人口増加などの問題によって、人類の未来は危機に直面しています。これを解決するためには、国や人種の違いを超えて協力し合うことが必要です。
筆者は、「世界地図が私たちの世界観を形作る」と指摘します。例えば、一般的なメルカトル図法の地図はヨーロッパを中心に描いていますが、実際の地球にはそのような中心はありません。
そこで、鳴川肇さんの「オーサグラフ地図」が登場します。この地図は、陸地と海洋の面積比を正確に保ちつつ、地球が一つにつながっていることを表現しています。
筆者は、この地図を使うことで、「世界に中心はなく、すべてがつながっている」という新しい地球観を育むことができると考えています。
テーマ解説
筆者の主張の根底には、「視点を変えることで世界の見方が変わり、人類の意識も変わる」という考えがあります。地図の見方が固定化されると、特定の価値観が当たり前になりがちです。しかし、視点を変えることで新たな発見が生まれます。
筆者は、未来を担う子供たちがオーサグラフ地図を使うことで、人類全体のつながりを意識し、新しい世界観を持てることを期待しています。これは単なる地図の話ではなく、人類の価値観の転換が必要だというメッセージでもあります。
まとめ
この文章では、地図が世界観に影響を与えること、そしてオーサグラフ地図を通じて新しい地球観を得ることの重要性が語られています。
視点を変えることで、「人類は一つであり、協力し合うべき存在である」という意識を持つことができるのです。この考えを広めることで、地球の未来をより良いものにしようというのが筆者の主張です。
『新しい地球観』の意味調べノート
【突破(とっぱ)】⇒ある目標や数量を超えること。
【苛酷(かこく)】⇒非常に厳しく、容赦がないさま。
【相違(そうい)】⇒物事の違い。異なる点。
【手掛かり(てがかり)】⇒問題解決のための手段やヒント。
【イノベーション】⇒技術革新。刷新。
【肥大化(ひだいか)】⇒大きく成長して膨らむこと。
【植民地(しょくみんち)】⇒他国によって支配された地域。
【意図(いと)】⇒物事を行う目的や考え。
【投影(とうえい)】⇒物事を他のものに映し出すこと。
【担う(になう)】⇒責任を持って引き受ける。
【培う(つちかう)】⇒育てる。成長させる。
【プロジェクト】⇒特定の目的に向けて進行する計画。
【ビジョン】⇒未来に対する明確な見通しや構想。
【ミッション】⇒使命。特定の役割。
【抵抗(ていこう)】⇒反対して邪魔をすること。
【転換(てんかん)】⇒状況や考え方を変えること。
『新しい地球観』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①トッパ口が見つかる。
②この国はシゲンが豊富だ。
③意見のソウイを整理する。
④長いコウカイを終えて港に着く。
⑤彼は強いテイコウを示した。
次のうち、本文の内容を表したものとして最も適切なものを選びなさい。
(ア)世界地図はすべて正確に作られており、人々の世界観に影響を与えることはない。
(イ)オーサグラフ地図は、地球のつながりを可視化し、新たな視点を提供する。
(ウ)従来のメルカトル図法の地図はすべての地域を均等に表現している。
(エ)未来の地図は技術の進化により、形が変わることはない。
まとめ
今回は、『新しい地球観』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。