文学国語『コンビニの母』の要約&本文解説、テスト対策問題

『コンビニの母』は、森絵都という作者によって書かれた文章です。高校の教科書・文学国語にも掲載されています。

ただ、本文を読むと内容が分かりにくいと感じる箇所が多いです。そこで今回は、『コンビニの母』のあらすじや要約、語句の意味などを分かりやすく解説しました。

目次

『コンビニの母』のあらすじ

本文は、四つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①和也の勤め先が間借りしているビルの一階にはコンビニがある。およそ半年前、そのコンビニのレジに「福平さん」が出現した。

②半年前のその日、和也は他の客たちの異様なそわつきを察知した。それはデビュー時から強力なキャラクターを確立させた「福平さん」によるものだった。とにかく、コミュニケーションの希求が半端ではない。ただミネラルウォーターを買いに来た客にさえ、これでもかとスモールトークごと売りつけようとする。和也はその暴力的な干渉に放心しつつ、遅かれ早かれ、客からのクレームで彼女は過干渉を自制することになるだろうと予測した。

③ところが、その日は一向に訪れなかった。和也の未来予測に反して、福平さんはかえって過干渉をエスカレートさせていった。そのように踏み込んでくる押しかけ母さんに食傷し、別のコンビニに通う人々も増え、そちらの店がにぎわいを見せるようになった。

④だが、福平さんのコンビニには常に一定数の客影が続いた。なぜなのか。もしや彼女が反省したのかと思い、和也は店を訪れた。変わったのは彼女ではなく、客の側だった。レジ待ちの列に白髪の面々がずらりと並んでおり、和也は妙な敗北感に駆られると同時に、都会がそれほど単層的に成り立ってはいないことを学んだのだった。

『コンビニの母』の要約&本文解説

200字要約

和也の勤め先のビル一階のコンビニに現れた福平さんは、客に過剰なコミュニケーションを求める強烈な存在だった。和也はその過干渉はいずれクレームによって自制されると予測したが、実際にはむしろエスカレートし、食傷した客は別のコンビニへ流れていった。しかし、それでも店には一定数の客影が続いていた。不思議に思い店を訪れた和也は、白髪の面々が並ぶ様子を見て、都会がそれほど単層的に成り立っていないことを学んだ。 (199文字)

①一見すると迷惑な店員「福平さん」

この文章では、コンビニ店員の福平さんという人物を通して、人との関わり方や社会の多様性が描かれています。福平さんは、客に対して過剰に話しかける特徴を持っています。本来コンビニは「素早く用事を済ませる場所」ですが、彼女はその常識を壊し、積極的に会話をしようとします。そのため、主人公の和也は「迷惑な店員だ」と感じます。

②筆者の予測と現実のズレ

和也は、福平さんの行動はいずれクレームによって改善されると考えます。つまり、「多くの人にとって不快だから、自然と修正されるはずだ」という常識的な見方です。しかし実際には、福平さんは変わるどころか、さらに干渉的になっていきます。この展開により、「世の中は自分の予想どおりには動かない」ということに和也は気づかされます。

③客が離れる一方で残る人もいる

福平さんを嫌がって別のコンビニに行く人も増えました。これは一見すると当然の結果です。しかし一方で、福平さんの店には一定数の客が残り続けます。この点が、この話の重要なポイントです。つまり、「世の中は全員が同じ価値観で動くわけではない」ということが示されています。

④筆者の主張:社会は多様である

和也が再び店を訪れると、そこには高齢者の客が多く並んでいました。ここから分かるのは、福平さんのような「よく話しかけてくる接客」を求める人もいるということです。例えば、一人暮らしの高齢者にとっては、店員との会話が貴重な交流の場になることがあります。

つまり筆者が言いたいのは、「良い・悪いは一つではなく、人によって価値は違う」ということです。自分にとって迷惑なものでも、別の人にとっては必要なものになり得ます。社会は単純ではなく、さまざまなニーズが重なって成り立っています。この気づきこそが、和也が感じた「敗北感」の正体であり、同時に学びでもあるのです。

『コンビニの母』の意味調べノート

【無機的(むきてき)】⇒人間らしさが感じられず、温かみがないさま。

【循環(じゅんかん)】⇒物事がめぐり巡って元に戻ること。

【察知(さっち)】⇒状況や変化をすばやく感じ取ること。

【否が応でも(いやがおうでも)】⇒嫌でも強制的にそうなるさま。

【連想(れんそう)】⇒あることから別のことを思い浮かべること。

【希求(ききゅう)】⇒強く望み求めること。

【介在(かいざい)】⇒物事の間に入り込んで存在すること。

【洗礼(せんれい)】⇒初めての経験として試練を受けること。

【干渉(かんしょう)】⇒他人のことに立ち入って関わること。

【放心(ほうしん)】⇒驚きやあきれで気が抜けた状態。

【希薄(きはく)】⇒物事の程度や関係が薄いこと。

【過干渉(かかんしょう)】⇒必要以上に他人に立ち入って関わること。

【自制(じせい)】⇒自分の感情や行動を抑えること。

【食傷(しょくしょう)】⇒同じようなことを何度も体験し、嫌になること。

【閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく)】⇒客が来ず、商売が繁盛していないさま。

【摩訶不思議(まかふしぎ)】⇒非常に不思議で理解しがたいこと。

【客影(きゃくかげ)】⇒客の姿や気配。

【下世話(げせわ)】⇒品がなく俗っぽいさま。いやしく下品であること。

【単層的(たんそうてき)】⇒一つの側面だけで成り立っているさま。

『コンビニの母』のテスト対策問題

問題1

次の仮名部分を漢字に直しなさい。

①血液がジュンカンする。

②彼の一言にドウヨウした。

③議論に第三者がカイザイする。

④親のカンショウが強すぎる。

⑤長時間労働でショウモウする。

解答

①循環 ②動揺 ③介在 ④干渉 ⑤消耗

問題2

「無機的な循環」とは、どういうことか?

解答

都心のコンビニでは、店員が個ではなく、集合体の一部として現れ、そして消えていくということ。

問題3

「異様なそわつき」とは、どのような様子か?

解答

客という客が一様に余裕を失い、何か浮き足立ったような雰囲気になっている様子。

問題4

「下世話な好奇心」とは、どのようなものか?

解答

福平さんが反省し、接客態度を改めたかどうかを興味本位で確かめようとする気持ち。

問題5

「ぐいぐいと籠の内側へ踏み込んで来る」とあるが、「籠の内側」とは何を指すか?また、「踏み込んで来る」と同様の意味を持つ熟語を本文中から二文字で抜き出しなさい。

解答

客が購入した品物 干渉

問題6

「妙な敗北感」とは、どのような感情のことか?

解答

福平さんのような接客態度を支持する人々もいるということに気付き、自分の受け止め方は一面的なものだったと思い知らされたということ。

問題7

「都会がそれほど単層的に成り立ってはいない」とは、どういうことか?

解答

都会にはさまざまな人間がいるということ。

まとめ

今回は、『コンビニの母』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として活用していただければと思います。

この記事を書いた人

大学卒業後、国語の添削員として就職。その後、WEB運営会社を起業し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。
「保有資格」⇒漢字検定1級・英語検定準1級・簿記二級・宅建など。

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