デジタル地図から見える世界 論理国語 テスト対策 意味調べノート 語句

『デジタル地図から見える世界』は、教科書・論理国語で学習する文章です。そのため、定期テストの問題にも出題されています。

ただ、本文を読むと筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、『デジタル地図から見える世界』のあらすじや要約、意味調べなどを解説しました。

『デジタル地図から見える世界』のあらすじ

 

本文は、三つの段落から構成されています。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①人間にとって、地図が長らく「広げる」ものであったのは、次の二つの含意がある。第一に、地図は紙や冊子を机の上などに「広げる」ことによって読むものであったということである。第二に、こうして紙に印刷された地図を、「広げる」という行為には、それによって人びとがみずからの地理的知識を「広げる」という意味も付随していたことである。

②近年わたしたちは、スマートフォンなどのデジタルメディアのディスプレイをとおして、地図を見るようになった。GPSが搭載された地図では、人間は地図のなかに入りこみ、地図上の点としてみずからを表すことができるようになった。そうした地図は、自己中心的な地図であり、人びとの視野を「広げる」よりも、むしろ「狭める」ように機能する可能性をもつようになっていった。

③デジタル地図の使用は、感覚的で反射的な行為になりつつある。地図が「わたし」に最適化されることに慣れてしまうと、つねに自己の身体を基準にして「現在地」とその周辺だけを見るようになる可能性がある。GPSを搭載し、ナビ機能を強化したスマートフォン版のデジタル地図が促しているのは、自己中心的な地図の使い方である。これにより、わたしたちは地図を主体的に読みこみ、全体を見渡すような想像力を失いつつあるのではないか。

『デジタル地図から見える世界』の要約&本文解説

 

100字要約従来の紙の地図は、机に広げて見ることで地理的な知識を広げる役割を果たしていた。しかし、GPSを搭載したデジタル地図は自己中心的で、現在地を基準に視野を狭め、全体を把握する力を失わせる可能性がある。(98文字)

この文章のテーマは、「デジタル地図が私たちの地図の使い方や認識をどのように変えたか」ということです。筆者は、従来の紙の地図とデジタル地図の違いに注目し、デジタル地図が私たちの視野を狭める可能性について警鐘を鳴らしています。

① 紙の地図の特徴

紙の地図は、机の上に「広げる」ものであり、地理的な知識を広げる役割を果たしていました。例えば、日本地図を広げることで、自分の住んでいる場所だけでなく、日本全体の地形や県の位置関係を把握することができました。

② デジタル地図の特徴

一方で、スマートフォンの地図は「広げる」のではなく、画面上で自分の現在地を中心に見るものです。GPSによって、私たちは地図の中の「点」として存在し、ナビ機能によって道を案内されるため、地図全体を把握しようとする意識が弱くなります。

③ デジタル地図がもたらす影響

デジタル地図は便利ですが、現在地とその周辺しか見なくなることで、全体を把握する想像力が失われる可能性があります。例えば、紙の地図で旅行の計画を立てる場合、目的地までのルートだけでなく、その周辺の観光地や地形にも自然と目が向きます。しかし、スマホのナビを使うと、指示された道をたどるだけで周囲の地理には無関心になりがちです。筆者は、このようなデジタル地図の使い方が、私たちの空間認識や想像力を狭めると指摘しているのです。

『デジタル地図から見える世界』の意味調べノート

 

【とりわけ】⇒特に。数ある中でも特に目立つものを指す。

【付随(ふずい)】⇒主となるものに従い、付いていること。伴って生じること。

【踏査(とうさ)】⇒実際に現地を歩いて調査すること。

【全貌(ぜんぼう)】⇒物事の全体の姿やありさま。

【具体的(ぐたいてき)】⇒はっきりとした形や内容があること。抽象的でないこと。

【普及(ふきゅう)】⇒広く行き渡ること。多くの人に広まること。

【メディア】⇒情報を伝える手段や媒体。新聞・テレビ・インターネットなど。

【かならずしも…ではない】⇒必ずそうとは限らない。部分的には当てはまるが、例外もあること。

【(…し)つつある】⇒今まさに変化が進行していることを表す。

【普遍的(ふへんてき)】⇒すべてに共通して当てはまること。変わらないこと。

【搭載(とうさい)】⇒機械や設備などを取り付けること。

【放棄(ほうき)】⇒権利や責任などを自ら捨てること。

【回避(かいひ)】⇒危険や困難を避けること。

【もはや】⇒すでに。ある状態が変化し、元に戻れないことを示す。

【とりたてて】⇒特に強調するほどではないこと。

【身を委ねる(みをゆだねる)】⇒自分の意思を捨て、他者や状況に任せること。

【いとも】⇒非常に。きわめて。

【相対的(そうたいてき)】⇒他と比較して成り立つこと。絶対的でないこと。

【促す(うながす)】⇒物事を進めるように働きかけること。

【ひきかえに】⇒その代わりに。交換条件として。

【主体的(しゅたいてき)】⇒自分の意思で行動すること。他人に流されないこと。

『デジタル地図から見える世界』のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①彼はショミン的な食べ物が好きだ。

②ネットでケンサクすればすぐに分かる。

③最新モデルには新機能がトウサイされている。

④彼は責任をホウキして逃げた。

⑤渋滞をカイヒするために裏道を通った。

解答①庶民 ②検索 ③搭載 ④放棄 ⑤回避
問題2

「二つの含意」とは何か?次の空欄に当てはまる形で答えなさい。□は文字数を意味する。

①□に②□□された地図を机の上などに「広げる」ことと、それによって人びとが自分の③□□□□□を「広げる」こと。

解答①紙 ②印刷 ③地理的知識
問題3「地図の中に『居る』ことができるようになった」とあるが、どういうことか?
解答わたしたちが、地図のなかに入りこみ、地図上の点としてみずからを表すことができるようになったということ。
問題4「地図が『わたし』に最適化される」とは、どういうことか?
解答地図が、そのときどきの自分の状況に応じて、適切な情報を与えてくれるようになること。

まとめ

 

今回は、『デジタル地図から見える世界』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。