コミュニケーション能力とは何か 現代の国語 要約 解説 問題 意味調べノート

「コミュニケーション能力とは何か」は、教科書・現代の国語で学習する文章です。内田樹という作者によって書かれたもので、定期テストにも主題されています。

ただ、本文を読むとその内容や筆者の主張が分かりにくいと感じる箇所も多いです。そこで今回は、「コミュニケーション能力とは何か」のあらすじや要約、語句の意味などを簡単に解説しました。

「コミュニケーション能力とは何か」のあらすじ

 

あらすじ

①コミュニケーション能力とは、コミュニケーションを円滑に進める力ではなく、コミュニケーションが不調に陥ったときに、そこから抜け出すための能力である。それは、「普通はしないことを、あえてする」という形で発動する。スーパーの買い物客は、普通はレジの店員の発言を確認しない。レジの店員も、普通はローカルな商習慣を店員に説明したりはしない。だが、私たちは二人とも「普通はしないこと」をしたことで、コミュニケーションの回路を回復させたのだ。

②コミュニケーションの失調から回復する一番基本的な方法は、自分はいったん口をつぐみ、相手に発言の優先権を譲ることである。それが対話というマナーだ。対話において、真理は仮説的にではあれ、未決状態に置かなければならない。そうしないと説得という手続きには入れない。説得するためには、相手の知性に対する敬意を手放してはならない。コードを破り、自分の立場を離れて、相手の懐に飛び込むことで、コミュニケーションは息を吹き返す可能性がある。

「コミュニケーション能力とは何か」の要約&本文解説

 

200字要約コミュニケーション能力とは、コミュニケーションが不調に陥ったときに、不調から抜け出すための能力である。それは、普通はしないことを臨機応変に即興で行い、コードを破ることで発動する。コミュニケーション成立の条件は、相手に私を説得するチャンスを与え、対話が終わるまでどちらが正しいか判断を保留することである。自分の立場を離れて相手に近づくことで、不調だったコミュニケーションは回復する可能性があるのだ。(198文字)

筆者は、「コミュニケーション能力」とは、「会話をうまく進める力」ではなく、「うまくいかなくなったときにそれを回復させる力」だと捉えています。

日常会話では、私たちは何も問題なくコミュニケーションを取ることが多いです。しかし、時にはうまくいかなくなることもあります。そのようなときに重要なのは、普通はしないことをあえてすることだと筆者は主張します。

例えば、普段の買い物の際、客がレジの店員に説明を求めることは少ないですし、店員も店側の商習慣を説明することはほとんどありません。しかし、このような普段はしないことをあえてすることで、コミュニケーションを改善することができます。

さらに、コミュニケーションがうまくいかないときの最も基本的な方法は、まず自分が黙って相手に発言の優先権を譲ることだと筆者は述べています。自分が話し続けるのではなく、相手の意見をしっかりと聞くことで、対話の中で理解を深めることができるからです。

また、対話においては、どちらが正しいかをすぐに判断せず、相手の意見に耳を傾ける姿勢が重要とも述べています。相手の立場を理解しようとすることで、相手との信頼関係が築かれ、コミュニケーションが回復する可能性が高まるからです。

このように、コミュニケーションの不調を回復するには、普通はしないことを臨機応変に即興で行い、自分の立場を離れて相手へ歩み寄ることが重要だと筆者は考えているのです。

「コミュニケーション能力とは何か」の意味調べノート

 

【肩をそびやかす】⇒威勢のよさそうな態度を取る。威圧的な感じを示す。

【典型的(てんけいてき)】⇒その類の特徴をよく現しているさま。

【熟知(じゅくち)】⇒詳しく知っていること。

【口跡明瞭(こうせきめいりょう)】⇒言葉がはっきりと明確に発音されること。

【肩をすくめる】⇒呆れたり困惑したりして、両肩を縮こめる動作をする。

【顧客(こきゃく)】⇒商品やサービスを購入する人。

【労を取る(ろうをとる)】⇒あることのために骨を折る。あることをしてやる。

【多とする(たとする)】⇒ありがたく思う。

【途絶(とぜつ)】⇒続いていた物事がとぎれて絶えること。

【発現(はつげん)】⇒現れ出ること。

【臨機応変(りんきおうへん)】⇒状況に応じた行動をとること。

【即興(そっきょう)】⇒その場で考えてすぐに行うこと。

【特殊(とくしゅ)】⇒性質や内容などが、他と著しく異なること。

【勘案(かんあん)】⇒あれこれと考え合わせること。

【耳を傾ける(みみをかたむける)】⇒注意して聞く。熱心に聞く。

【採択(さいたく)】⇒いくつかあるものの中から選んで取り上げること。

【がなり立てる(がなりたてる)】⇒あたりかまわず激しくわめく。わめきたてる。

【真理(しんり)】⇒正しい考え方や事実。真実の道理。

【仮説的(かせつてき)】⇒確定していないが、一時的に正しいと考えられるものに基づくさま。

【懐に飛び込む(ふところにとびこむ)】⇒相手に近づく。信頼を得る。

「コミュニケーション能力とは何か」のテスト対策問題

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

①友人の家にタイザイする。

ユウビン番号を確認する。

コキャクと関係を築く。

ソッキョウで演奏を始める。

⑤相手にケイイを持つ。

解答①滞在 ②郵便 ③顧客 ④即興 ⑤敬意
問題2「なんとなく聞き覚えのある単語なのですが、意味がわからない。」とあるが、なぜ意味がわからないのか?本文中から2箇所、そのままの形で抜き出しなさい。
解答

①普通レジで訊かれるはずの質問リストの中に、その単語が存在しないから

②文脈が見えないから

問題3筆者は、「コミュニケーション能力」とはどのような能力だと考えているか?
解答コミュニケーションが不調に陥ったときに、そこから抜け出すための能力。
問題4「チャンピオンベルト」とは、何を例えたものか?本文中からそのまま抜き出しなさい。
解答真理
補足「試合の前にチャンピオンベルトを返還して、それをどちらにも属さない中立的なところに保管する(二十三・13)」と「真理がいずれにあるのか、それについては対話が終わるまで未決にしておく(二十三・14)」が具体例と一般化の関係になっている。ボクシングの世界タイトルマッチでは、試合の前にチャンピオンが一度ベルトを返還し、試合が終わるまでそのベルトの所有者は決まりません。同様に、対話においても、自分が絶対的に正しいとする考え(真理)、つまりチャンピオンの地位を一旦手放し、相手に発言の機会を譲ることで、対話が円滑に進みます。つまり、ここでのたとえは「対話の中で自分の主張を押し通さず、一時的に保留し、相手の意見に耳を傾ける姿勢が重要である」という筆者の主張を表しています。
問題5「対話において、真理は仮説的にではあれ、未決状態に置かれねばなりません。」とあるが、ここでの「仮説」はどのような仮説か?
解答両者がともに認める前提から出発し、両者がともに認める論理に沿って話を進めれば、いずれ私たちは同じ結論にたどりつくはずだという仮説。
補足ここでいう「仮説」とは、自分や相手の意見、主張が「絶対に正しい」と決めつけず、一時的に保留することを指しています。対話の中では、互いの主張がぶつかり合うことがありますが、その場ですぐに「どちらが正しいか」を決めつけてしまうと、相手の意見を受け入れる余地がなくなり、建設的なコミュニケーションが難しくなります。そのため、相手の意見を「仮に正しいかもしれない」と考え、一度自分の意見も含めて未決の状態に置くことが重要です。これにより、冷静な対話が可能になり、相手の立場を理解しやすくなります。つまり、ここでの「仮説」とは、「どちらの意見も正しい可能性がある」という前提に立ち、対話を進めるための姿勢を表しています。

まとめ

 

今回は、「コミュニケーション能力とは何か」について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。