『情報の力関係』は、佐藤雅彦氏による文章です。教科書・現代の国語にも載せられています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いです。そこで今回は、『情報の力関係』のあらすじや要約、語句の意味などを解説しました。
『情報の力関係』のあらすじ
図①の例では、矢印という図形は文字よりも情報訴求力があることが分かる。また、図②の例では、図形情報を読み取るのが面倒な場合は、文字情報の方が強いことが分かる。
<図形>対<文字>以外にも、情報の訴えかけの力の強弱は存在する。例えば、<絵>対<図形>である。この場合も、我々に対して勝手な解釈をつけさせて、絵の見え方を変えさせる。
このように、どんなメディアでもさまざまな情報の要素に力関係が生じる。図形や写真、文字、絵などの要素をうまく使うことでたくさんの情報をスムーズに送ることもできるし、その逆も言える。
どんな要素が現実的に効果的かを判断するのは意外と楽しく、今日紹介してきたようなことを、私は毎日確認しつつ、表現活動をしているのだ。
『情報の力関係』の要約&本文解説
映像作家でもある筆者は、メディアにおける力関係の違いについて、具体例を紹介しながら説明しています。
まず、図①では、一般に図形情報の方が文字情報よりも情報訴求力があること、そして図②では図形を読み取るのが面倒で文字を読み取る方が楽な場合は、文字情報の方が強いことを述べています。
さらに、図③~⑤では、同じ図であっても、人や矢印の向きなどを図に付け加えると、その図は我々に対して強引な解釈をつけさせることを効果的に述べています。
このように、図形や写真、文字などのメディアの世界では、さまざまな情報の要素に力関係が生じます。そのメディアの各要素をうまく使うことで、私たちはたくさんの情報をスムーズに送ることもできますし、逆に送らないこともできるということです。
『情報の力関係』の意味調べノート
【広告(こうこく)】⇒商品やサービス、事業などの情報を積極的に世間に広く宣伝すること。
【息抜き(いきぬき)】⇒気分転換のためにしばらく休むこと。
【…がち】⇒体言または動詞の連用形に付いて、そのことが「多い」「その傾向がある」などの意を表す。
【眼差し(まなざし)】⇒視線。
【情報訴求力(じょうほうそきゅうりょく)】⇒筆者の造語。その情報の内容を訴えかける力のこと。「訴求」とは、本来は「宣伝・広告で、買い手に訴えかけること。」という意味。
【反例(はんれい) 】⇒その定義や論理が正しくないことを示す例。
【漠然(ばくぜん)】⇒ぼんやりとして、はっきりしないさま。
【取り立てる(とりたてる)】⇒多くの中から特別に取り上げる。「取り立てて気付かず」で、ここでは「特に気付かず」という意味。
【エスカレーター】⇒人・貨物を昇降する階段状の動力装置。階段状の踏み板がモーターにより循環移動し、昇降する。
【解釈(かいしゃく)】⇒文章や物事の意味を、受け手の側から理解すること。
【メディア】⇒媒体。特に、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体を指すが、ここでは図形・写真・文字など情報を伝達する際の形態や形式を指す。
【要素(ようそ)】⇒物事を成り立たせている基本的な内容や条件。
【現実的(げんじつてき)】⇒現実に関するさま。現実に即しているさま。
【効果的(こうかてき)】⇒効果のあるさま。
【判断(はんだん)】⇒ある物事について自分の考えをこうだと決めること。
【解明(かいめい)】⇒不明な点を探って、はっきりさせること。
『情報の力関係』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①キカクを考える。
②ジシャクのような力を持つ。
③腹痛の症状をウッタえる。
④バクゼンとした不安を抱く。
⑤メンドウな手続きを省く。
⑥彼の言葉を善意にカイシャクする。
⑦あなたのハンダンに任せる。
⑧事件の真相をカイメイする。
次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。
(ア)一般に、表現要素として図形の方が文字よりも情報訴求力が大きいことが多いが、反例もある。
(イ)図形情報を読み取るのが面倒だったりすると、文字情報の方が、図形情報よりも強く感じる場合もある。
(ウ)私たちは下向きに付け加えられた「矢印」を見ても、「鼻の向き」が上に向かっている場合は、上向きのエスカレーターだと感じる。
(エ)図形や写真や文字や音などの要素をうまく使いこなすことで、たくさんの情報をスムーズに送ることができる。
まとめ
以上、今回は『情報の力関係』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。