『ナンバーワンか、オンリーワンか』は、稲垣栄洋氏による評論文です。教科書・現代の国語にも載せられています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくい箇所もあります。そこで今回は、『ナンバーワンか、オンリーワンか』のあらすじや要約、語句の意味などを解説しました。
『ナンバーワンか、オンリーワンか』のあらすじ
ナンバーワンとオンリーワン、あなたはどちらの考えに賛成するだろうか?生物の世界の法則では、ナンバーワンしか生きられない。これが、厳しい鉄則である。
生物学者ガウゼが行った実験では、二種類のゾウリムシを一つの水槽で一緒に飼うと、最終的に一種類だけが生き残り、もう一種類の方は駆逐されて、滅んでしまうことが分かった。
だが、この実験には続きがある。ゾウリムシの種類を変えてみると、今度は二種類のゾウリムシは一つの水槽の中で共存をしたのである。その理由は、棲む場所と餌が異なるからであった。
このように、同じ水槽の中でも、棲んでいる世界が異なれば、生物は競い合う必要もなく、共存することが可能なのである。
ナンバーワンしか生きられないのが自然界の鉄則だが、自然界にはたくさんの生物がいる。つまり、すべての生き物が、どこかの部分でそれぞれナンバーワンなのだ。
ナンバーワンであることが大事なのか、それともオンリーワンであることが大事なのか。この答えは、すべての生物はナンバーワンであると同時に、オンリーワンなのである、ということになる。
『ナンバーワンか、オンリーワンか』の要約&本文解説
筆者はまず、読者に対して「ナンバーワンになること」と「オンリーワンになること」のどちらの考えに賛成するだろうか?と質問しています。
その上で、ゾウリムシを使った実験を紹介しています。二種類のゾウリムシを一つの水槽で飼う実験を行ったところ、最終的に一種類だけが生き残り、もう一種類のゾウリムシは滅んでしまうというものです。
したがって、基本的には生物は「ナンバーワンしか生きられない」ということを筆者は述べています。
ところが、この実験には続きがあり、ゾウリムシの種類を変えたところ、今度は二種類のゾウリムシは一つの水槽の中で共存をしたということです。同じ水槽の中でも、棲んでいる場所(世界)が異なれば、生物は共存することが可能だということが分かったのです。
この事から、筆者はすべての生き物は、どこかの部分でそれぞれナンバーワンであると述べています。
最終的な筆者の結論としては、最後の一文に集約されていると言えます。つまり、「すべての生物はナンバーワンであると同時に、オンリーワンなのである」という箇所です。
『ナンバーワンか、オンリーワンか』の意味調べノート
【歌詞(かし) 】⇒歌に伴う言葉のこと。歌曲、歌劇などの言葉を指す。
【個性(こせい)】⇒個人または個体に特有な特徴あるいは性格。
【賛成(さんせい)】⇒人の意見や行動などに同意すること。
【営み(いとなみ)】⇒行為。行い。
【鉄則(てっそく)】⇒変えることのできない法則。
【豊富(ほうふ)】⇒豊かであること。ふんだんにあること。
【駆逐(くちく)】⇒追い払うこと。
【共存(きょうそん)】⇒二つ以上のものが同時に生存・存在すること。
【掟(おきて)】⇒決まり。守るべきものとしてすでに定められている事柄。
【(…し)得る。】⇒…できる。可能である、という意を表す語。
【大腸菌(だいちょうきん)】⇒腸内細菌の一種。糞便中に必ず見られ、水などの汚染検査の指標とされる。
【酵母菌(こうぼきん)】⇒出芽によって繁殖する円形もしくは楕円形の微細な単細胞の菌類の総称。
【棲み分け(すみわけ)】⇒生活様式のほぼ等しい異種の生物群が、生活空間や生活時間・時期を分け、競争を回避しながら共存する現象。
『ナンバーワンか、オンリーワンか』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①相手とキョウソウして勝つ。
②法案にサンセイする。
③悪貨は良貨をクチクする。
④パンを焼くためにコウボを使う。
⑤自然界のテッソクを守る。
次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。
(ア)生物の世界では、「ガウゼの法則」と言い、ナンバーワンしか生きることができないという厳しい鉄則がある。
(イ)ゾウリムシとミドリムシを一つの水槽で飼う実験を行うと、もう一種類のゾウリムシは駆逐されて、滅んでしまうという結果になった。
(ウ)同じような環境に暮らす生物どうしは、激しく競争し、ナンバーワンしか生きられないが、暮らす環境が異なれば、共存することができる。
(エ)すべての生物はナンバーワンであり、ナンバーワンになれる場所を持っている。この場所はオンリーワンである。
まとめ
以上、今回は『ナンバーワンか、オンリーワンか』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。