『魔術化する科学技術』は、教科書・現代の国語に収録されている評論文です。定期テストの出題範囲にも含まれています。
ただ、本文を読むとその内容が分かりにくいと感じる人も多いです。そこで今回は、『魔術化する科学技術』のあらすじや要約、テスト対策などを簡単に解説しました。
『魔術化する科学技術』のあらすじ
本文は、内容により3つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。
①科学とは、単に確実な知識のことではない。仮説と検証によって確かめられた法則性によって世界を理解することが科学である。そのため、科学的な理論は、実証性と反証可能性をもたなくてはならない。科学は、とりあえず認められる仮説以外は、「まだわからない」として判断を保留しなくてはならない。科学的な知は「究極の真理」などけっして指し示さない。古代や中世では、実証的に知りえないものは信仰や宇宙観によって知り、理解していた。
②原始や古代の人類にとって、世界は不透明さと不気味さに満ちていた。その不透明さと不気味さを消し去る術として、呪術や魔術、宗教が必要とされていたのだ。だが、現代の合理的思考は、これらを「誤った透明さ」、つまり誤謬として退け、別種の透明な理解可能性と操作可能性で置き換えた。その結果、道具や機械、技術は科学的知識と結びついて予測可能性と操作可能性を高めてきた。科学技術が合理性を追求すると、新たな予測可能性を生み出すことになる。科学技術の発展と高度化は、不透明で理解不可能な領域を抱え込んだのだ。
③だとすれば私たちは、原始や古代の人々に比べて透明な理解可能性を手にしているとは必ずしも言えない。日々の暮らしで、私たちは多くの機械や装置を使い、その便利さを享受しているが、これらがどのように動いているかは多くの人が知らない。いったんそこに目を向けるなら、現代の社会が不透明さをもった科学と技術の上に立っていることがわかるだろう。詳しい内容やしくみを理解していないものの、あらゆる不透明さを解決すると人々が考える点において、科学は魔術化されうるのである。
『魔術化する科学技術』の要約&本文解説
現代社会は、科学の発達により多くの予測と操作をすることができるようになりました。例えば、スマートフォンで情報収集をすれば、簡単にその日の天気を予測することができますし、車に乗って運転をすればいとも簡単に目的地へとたどり着くことができます。
このような便利な時代は、神様や宗教、呪術などで世の中を理解していた古代や中世では考えられなかったことです。
しかし、私たちは、スマートフォンや車のような便利な科学技術がどのように作られて、どのように動いているかはほとんどの人がよく分かっていません。多少はその仕組みを分かっている人もいるでしょうが、多くの人は何も分かっていない認識で日々の生活を過ごしています。
したがって、筆者は現代のことを、原始や古代の人々に比べて、透明な理解可能性を手にしているとは必ずしも言えないのだと述べています。
また、そもそも科学というのは究極の真理ではないのだと述べています。科学というのは、実際にそれを支持する事実があり、なおかつ実験や観察によって証明できないと真実だとは認められません。
また、どんな理論も仮説である以上、将来的にいつ否定されるとも限りませんし、世の中には科学では解明できない不思議な現象も多くあります。
このように、現代の科学というのは私たちが思っている以上に不透明で不気味な要素があるにも関わらず、人々は「科学があれば何でも解決できる」と考えている人が多いです。
その点において、筆者は科学のことを原始や古代における魔術や呪術といったものと同様だと考えているわけです。この事が、本文のタイトルにもなっている「魔術化する科学技術」ということになります。
『魔術化する科学技術』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①理論をケンショウする。
②ミトウの地。
③ジュジュツ的な思考。
④トウメイな水を飲む。
⑤利益をツイキュウする。
⑥機械をソウサする。
まとめ
以上、今回は『魔術化する科学技術』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。なお、本文中に出てくる重要語句について以下の記事でまとめています。