『兎が自分でつづって語る生活の話』は、教科書・現代の国語で学ぶ作品です。ただ、実際に文章を読むとその内容が分かりにくいと感じる箇所もあります。
そこで今回は、本作のあらすじや語句の意味、テスト対策などを簡単に解説しました。
『兎が自分でつづって語る生活の話』のあらすじ
本文は、内容により3つの段落に分けることができます。
①(初め~p94・2)②(p94・3~p97・8)③(p97・9~最後)
①兎は自分について、地球上のいちばん古い文字、つまり自分の足の跡で書いている。
②1885年の2月、わたしはトロントの北の森を歩きまわっていた。わたしは雪の上に足跡を発見した。その足跡をたどると、そこでは兎が追われて、梟(ふくろう)に食べられたということが分かった。
③状況証拠のあやふやな話なので、シャーロック・ホームズの話のように聞こえるかもしれない。だが、当の梟がもう一度食事をとりに戻ってきたことから、それは真実であったという証拠を手に入れた。ここには、誰も見た者のない、人間の見ることのできない野生の生活の一章がある。見る眼があれば、こうして雪のなか、泥のなか、はてや砂や埃のなかにたくさんのできごとを読み取ることができる。
『兎が自分でつづって語る生活の話』の要約&本文解説
この文章は、アメリカの博物学者であるシートン氏が書いた『シートン全集』第17巻(1951年・評論社)に収められています。本文は、その同書を日本語訳したものです。
まず主人公であるわたしは、雪の中にある兎の足跡から、兎が梟に追われて食べられてしまったのではないかと推測します。そして、当の梟が戻ってきたことから、実際に発見したさまざまな状況証拠は、真実であったという証拠を手に入れます。
このように、私たちは自然をよく観察し、多くの証拠を見つければ、動物がどのように行動をしていたかという真実を読み解くことができます。
実際の社会においても、私たちは見る眼を持つことができれば、日常生活の中におけるぞくぞくするようなたくさんのできごとを発見することができるのです。
『兎が自分でつづって語る生活の話』の意味調べノート
【鳶色(とびいろ)】⇒こげ茶色。鳶の羽のような色。
【怯える(おびえる)】⇒怖がってびくびくする。
【たいがい】⇒ほとんど。だいたい。
【気が触れる(きがふれる)】⇒正気でなくなる。
【告げる(つげる)】⇒伝え知らせる。
【趾(あし)】⇒鳥のあしゆびに当たるもの。
【綿毛(わたげ)】⇒綿のように柔らかい毛。
【梟めいた(ふくろうめいた)】⇒梟の羽のような。
【下手人(げしゅにん)】⇒殺人犯。ここでは、兎を殺した犯人を指す。
【状況証拠(じょうきょうしょうこ)】⇒犯罪事実を間接的に推測させる証拠。間接証拠。
【あやふや】⇒物事がはっきりしないさま。
【ほかならぬ】⇒それ以外のものではない。まさしくそうである。
【当の(とうの)】⇒ちょうどその。
【もう一度食事をなさりに、おもどりあそばしたのだ】⇒「もう一度食事をしに、戻ってきた」という意味を、ユーモアを混ぜて尊敬語で用いている。
【所業(しょぎょう)】⇒しわざ。行い。
【つぐ】⇒すぐその下に位する。
【最上(さいじょう)】⇒一番すぐれていること。この上ないこと。
【野生(やせい)】⇒動植物が自然環境で育ち、生きていること。
【はては】⇒ついには。
『兎が自分でつづって語る生活の話』のテスト対策問題
次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。
①テキの意表をつく。
②動物のシガイ。
③ショウコを残す。
④カッショクの肌。
⑤ソンケイする人物。
⑥ドロヌマの紛争。
まとめ
以上、今回は『兎が自分でつづって語る生活の話』について解説しました。ぜひ定期テストの対策として頂ければと思います。