情報と身体 テスト 意味調べ 教科書 テスト対策 現代文

『情報と身体』は、高校教科書・現代の国語に出てくる評論文です。ただ、実際に本文を読むと筆者の主張が分かりにくい部分もあります。

そこで今回は、『情報と身体』のあらすじやテスト対策、語句の意味などを含め簡単に解説しました。

『情報と身体』のあらすじ

 

本文は、内容から4つの段落に分けることができます。ここでは、各段落ごとのあらすじを簡単に紹介していきます。

あらすじ

①メディアの発達により、世界の様々な情報を簡単に知ることができるようになり、世界はとても狭くなった。人間は長い間、リアルな時空間の中を身体が運動し、そのことにより情報を得ていた。だが、メディア環境では、身体の運動なしに世界の知識が獲得され、そこでは知覚と運動とが分離される。その意味で、生き物として無理なことを強いられているわけだ。

②情報ネットワークの中で、人々は狭い世界の中に安住するようになった。人々は、外の世界「について」の言葉を操作するのは巧みだが、自分の世界「の中で」それらを意味付けようとはしない。知識と身体とを切り離す術を修得してしまったのだ。

③かつては、わずかな情報を手に入れることですら不便で時間がかかることだった。だが、そうした「効率の悪さ」が複雑な意味の場を形作っていたのである。

④人間は常に身体を伴った存在であり、情報に意味を与えるのはこの身体を通してしかありえない。電子的空間と身体的現実との間の往復運動に、自分なりのリズムを見出すことが本当の情報リテラシーだ。今こそ、情報技術が人間にとって何の役に立つかを考えていくべきである。

『情報と身体』の要約&本文解説

 
200字要約メディアの発達により、身体の運動なしに世界についての知識が獲得されるようになり、世界は確かに狭くなった。だが、知覚と運動が分離されているのは生きものとして無理なことを強いられていることを意味する。人間は常に身体を伴った存在であり、情報に意味を与えるのはこの身体を通してしかありえない。電子的空間と身体的現実との間の往復運動に、自分なりの軽快なリズムを見出すことこそが、本当の情報リテラシーである。(198文字)

筆者はまず第一段落で、メディアの発達により世界はとても狭くなったのだと述べています。例えば、私たちはインターネットにアクセスすることで、日々の情報を簡単に手に入れることができます。地球の裏側の情報であろうと、身体を動かさずにいとも簡単に知ることができます。

昔であれば、このような旅(運動)なしに知識を得ることはありえませんでした。ただ、こういった知覚と運動が分離された現象というのは、生き物として無理なことをしているのだと筆者は続けます。

この主張を補足するために、第二段落では「狭い世界の中に安住する人々」に対する批判、そして第三段落では「情報に意味を与える効率の悪さ」のメリットを述べています。

第四段落では、筆者は「情報に意味を与えるのは人間の体を通してでしかありえない」と述べています。これはつまり、私たちは「旅」のような身体の運動(身体的現実)を通してのみ、情報に意味を与えることができるのだ、ということです。

そして筆者は最後に、電子的空間と身体的現実との間の往復運動に、自分なりの軽快なリズムを見出すことこそが、本当の情報リテラシーである。と結論付けています。もっと簡単に言えば、メディアとの付き合い方や距離感を見直すことが重要である、ということです。

全体を通して筆者が主張したいことは、最後の第四段落と冒頭の第一段落に集約していると言えます。

『情報と身体』の意味調べノート

 

【メディア】⇒媒体。特に、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体。

【証人喚問(しょうにんかんもん)】⇒議院が、議案の審査または国政の調査のため、証人の出頭・証言などを求めること。

【未曽有(みぞう)】⇒今までに一度もなかったこと。

【共同体(きょうどうたい)】⇒血縁や地縁、地域などによって結びついている集団。

【リアル】⇒現実的。

【知覚(ちかく)】⇒感覚器官を通して外界の事物を認識し、見分けるはたらき。

【強いる(しいる)】⇒強制する。無理にやらせる。

【掲示板(けいじばん)】⇒ 「電子掲示板システム」の略。コンピューターネットワーク上で、参加者が自由にメッセージを書き込んだり読んだりできるウェブページ。

【未知(みち)】⇒まだ知らないこと。

【既製品(きせいひん)】⇒商品としてすでにできあがっている品物。

【安住(あんじゅう)】⇒それ以上を望まず、現にある境遇に満足すること。

【心性(しんせい)】⇒心のあり方。心的傾向。

【根を下ろす(ねをおろす)】⇒定着する。

【シンボル】⇒ある意味を表す記号。

【猶予(ゆうよ)】⇒決められた日時をのばすこと。ここでは、「時間」と同じような意味。

【動機付け(どうきづけ)】⇒行動を起こさせ、目標に向かわせるような心理的な要因。

【逆説的(ぎゃくせつてき)】⇒普通とは反対の方向から考えを進めるさま。

【拒絶(きょぜつ)】⇒防ぎこばむこと。ことわって受けつけないこと。

【得策(とくさく)】⇒うまいやり方。

【頻繁(ひんぱん)】⇒しきりに行われること。

【軽快(けいかい)】⇒身軽ですばやいさま。

【情報リテラシー(じょうほうリテラシー)】⇒情報を十分に使いこなせる能力。大量の情報の中から必要なものを収集し、分析・活用するための知識や技能。

【絶好(ぜっこう)】⇒物事をするのに、きわめてよいこと。

『情報と身体』のテスト問題対策

 

問題1

次の傍線部の仮名を漢字に直しなさい。

ミゾウの大地震。

②知識をシュウトクする。

ユウヨを与えられる。

タイクツな作業。

⑤学生時代をナツかしむ。

ゼッコウの機会である。

解答①未曽有 ②習得 ③猶予 ④退屈 ⑤懐 ⑥絶好
問題2「逆説的に聞こえるかもしれないが、」と筆者が言っているのはなぜか?本文中の語句を使い、100字以内で答えなさい。
解答情報収集の「効率の悪さ」は不便のようにも思えるが、その「不便さ」がかえって情報の意味をゆっくり考える猶予を与え、情報を獲得し自分のものにしようとする動機づけになり、複雑な意味の場を形づくっていたため。(100文字)
問題3

次の内、本文の内容を表したものとして適切でないものを選びなさい。

(ア)メディア環境においては、身体の運動なしに世界についての知識が獲得され、そこではより多くの情報を得るためには、できるだけ身体を動かさないことが必要になる。

(イ)現在のインターネット環境においては、人々は情報を既製品のカタログのようなものとして経験し、人間同士の出会いすら、一定の手続きに変えられてしまう。

(ウ)探しているものがすぐに見つかる情報空間は、逆の言い方をすれば、「単に探しているものしか見つからない」退屈な場所だともいえる。

(エ)人間は常に身体を伴った存在であり、情報に意味を与えるのは身体を通してしかありえないため、インターネットにどっぷり浸りきるのは危険である。

解答(エ)危険とまでは言っていない。インターネットにどっぷり浸りきるのも、逆にそれを拒絶するのも得策とは言えない。大切なのは「頻繁にスイッチを切る」習慣かもしれない。と筆者は述べている。

まとめ

 

以上、今回は『情報と身体』について解説しました。情報について論じた文章は、入試においても出題されやすいです。ぜひ内容を正しく理解できるようになって頂ければと思います。