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辞任 解任 違い 退任 使い分けは

 

「辞任」と「解任」は、どちらも新聞やニュースなどでよく見る言葉です。

「監督が辞任を決意した」「取締役を解任した」

さらに似たような言葉で「退任」が使われることもあります。今回はこれらの言葉の違いや使い分けについて詳しく解説しました。

辞任の意味

 

まずは、「辞任」の意味からです。

【辞任(じにん)】

就いていた任務・職務を、自分から申し出て辞めること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

辞任」とは「任務や職務を自分から申し出てやめること」を意味します。

例えば、プロ野球の世界では監督が辞任することがよくあります。通常であれば、監督の上の立場であるオーナーが、続投を命じるのが基本的な流れです。

ところが、成績不振や何らかの理由により監督自ら「辞めたい」と申し出るようなことがあります。このような場面で、「自分から申し出て辞めること」を「辞任」と言うわけです。

つまり「辞任」とは周りや他人の影響などではなく、自らの意思によって辞めることを決意した言葉ということになります。

解任の意味

 

続いて、「解任」の意味です。

【解任(かいにん)】

任務を解くこと。職務をやめさせること。免職と違って、本質的な身分には異動のないことが多い。解職。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

解任」とは「任務や職務を、他人の意向によりやめさせること」を意味します。

例えば、よくある使い方として「取締役の解任」が挙げられます。

会社の取締役は、株主総会の決議によって解任させられることがあります。つまり、「株主の意向によりクビにされる」ということです。

これは様々な理由が考えられますが、一般に会社の経営不振の責任、取締役の不祥事などが挙げられます。このように、「自分の意向ではなく他人の意向によりやめさせられること」を「解任」と言うわけです。

「解任」の「解」は、「解雇」や「解職」などと同じ漢字です。したがって、自分以外の意向で職務を解かれることを「解任」と呼ぶことになります。

辞任と解任の違い

辞任 解任 違い 使い分け 漢字

 

ここまでの内容を整理すると、

辞任」=任務や職務を自分から申し出てやめること。

解任」=任務や職務を、他人の意向によりやめること。

ということでした。

両者の違いを簡単に言うと、「誰の意思で辞めるか」だと言えます。

「辞任」は、自らの意思で辞めることです。一方で、「解任」は他人の意思で辞めさせられることです。

したがって、両者のイメージとしては以下のようになります。

辞任」⇒「自分で自分にけじめをつける

解任」⇒「自分のミス・不祥事などで責任をとらされる

比較しても分かるように、「解任」の方がよりシビアな措置です。「解任」は、原則として組織に損害を与えたような時に使います。

一方で、「辞任」の方は必ずしもそうとは限りません。「辞任」は、周りに迷惑をかけなくても「本人がけじめをつけたい」と決意すれば辞めたことになるのです。

そのため、もしもニュースなどで「辞任」が使われた時は、基本的にはその人自身が決断して行われたことだと考えて問題ありません。

逆に、もしも「解任」が使われた場合は、本人以外の何かしらの外部の意思によって行われた措置ということになります。

退任の意味

 

似たような言葉で、「退任」があります。

【退任(たいにん)】

任務をやめること。役目をしりぞくこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

退任」とは「任務をやめること」を意味します。

ここで言う「やめる」とは、自分の意思も他人の意思もすべて含みます。つまり、「退任」は「辞任」と「解任」を含んだ言葉ということです。

イメージとしては、「退任」という大きな項目の中に「辞任」と「解任」が入ると考えれば分かりやすいでしょう。

「退任」は「務を退く」と書くので、意思そのものではなく「退くことに焦点を当てた大きな意味の言葉」です。したがって、やめる意味を持つ「辞任」と「解任」を含むことになるわけです。

一般的には、「退任」は任期満了で辞める時に使うことが多いです。例えば、三年契約であれば、三年経つと同時に「退任」といったケースです。

その理由は、任期中に辞める際は多くの場合「辞任」の方を使うからだと言えます。

使い方・例文

 

最後にそれぞれの使い方を例文で紹介しておきます、

 

【辞任の使い方】

  1. チームの低迷に責任を感じ、辞任を申し出た。
  2. 今回の失言の責任を取るために、大臣を辞任した。
  3. 本日限りで、会長を辞任する意向を表明しました。
  4. 成績不振の責任を取り、監督を辞任するつもりです。
  5. 自ら辞任をするなんて、彼は男らしい決断をした。

【解任の使い方】

  1. 経営判断のミスにより、その取締役は解任された。
  2. 役員の解任は、正当な理由があるかが重要である。
  3. 本会議で、委員長の解任決議案が提出された。
  4. 社長の解任は、株主の強い意向によるものであった。
  5. 成績不振を理由にわずか半年で監督を解任された。

【退任の使い方】

  1. 任期満了を持ち、会長は退任することになった。
  2. 会社の退任により、新たに副社長が昇格した。
  3. 四年契約終了後は、監督を退任する予定だ。

 

なお、「辞任」の「対義語」は「就任」と言います。「就任」の詳しい意味は以下の記事を参照してください。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

辞任」=任務や職務を自分から申し出てやめること

解任」=任務や職務を、他人の意向によりやめること。

退任」=任務をやめること。辞任と解任を含んだ言葉

いずれも普段のニュースやビジネスシーンなどでよく使われています。ぜひ正しい意味を理解した上で、使い分けして頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。