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直情径行 意味 例文 使い方 対義語 英語訳

 

「直情径行」という四字熟語をご存知でしょうか?使い方としては、「直情径行な人」「直情径行型の性格」などのように用います。

ただ、この言葉は良い意味として使うのか、それとも悪い意味として使うのかといった疑問があります。そこで本記事では、「直情径行」の意味や使い方、類語・反対語などを含め詳しく解説しました。

直情径行の意味・読み方

 

まずは、この言葉の意味と読み方です。

【直情径行(ちょくじょうけいこう)】

感情の赴くに任せて思うとおりに行動すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

直情径行」は「ちょくじょうけいこう」と読みます。意味は、「感情のおもむくままに行動すること」です。

例えば、自分の思ったことをそのまま発言し、相手を傷付けてしまう人がいたとしましょう。具体的には、相手の見た目をけなしたり弱点をはっきりと指摘するような人です。

このような人は、相手の気持ちや周りの状況を無視した言動を取っているので「直情径行な人」と言えます。

「直情径行」は基本的に悪い意味として使います。この四字熟語を良い意味として使うことはありません。

 

「直情径行」の語源も確認しておくと、「」も「」も元々は「まっすぐ」という意味があります。

直情」とは「偽りや飾り気のないありのままの感情」、そして、「径行」とは「思ったことをそのまま行動に移す」という意味です。

以上の事から、「直情径行」の本来の意味は「真っすぐな感情を、そのまま行動に移すこと」となります。ここから現在の「感情のままに行動する」という意味になるわけです。

直情径行の由来は『礼記』

 

直情径行」は、中国の礼記(らいき)という書物が由来です。『礼記』の中の一節に、次のような記述があります。

直情径行なる者有り、戎狄の道なり」

簡単に訳すと、「戎狄(じゅうてき)が来る道には、直情径行な者が多い」となります。

「戎狄(じゅうてき)」とは、当時の中国の外側にいた野蛮な民族を卑下して呼んだ言葉です。つまり、彼らは「感情のままに行動するのは、野蛮な者が行うことだ」と言っていたということです。

昔の中国では、「深く考えられない人間は、人間として価値が低い」と考えられていました。逆に、よく考えて物事を深く追求できる人は思慮がある人物として社会から評価されていました。そのため、「直情径行」は古くから悪い意味として使われていたのです。

最近では「直情径行」の意味を「裏表がない」「正直な性格」などと誤解する人も増えているようです。しかし、本来は否定的な意味から来た言葉ですので、意味を勘違いしないようにする必要があると言えます。

直情径行の類義語

 

「直情径行」の「類義語」は、以下の通りです。

直言直行(ちょくげんちょっこう)】⇒思ったことをはっきり言い、行動に移すこと。
短慮軽率(たんりょけいそつ)】⇒考えが浅く、行動が軽はずみなこと。
猪突猛進(ちょとつもうしん)】⇒周囲の人や状況を考えず、一つの事に突き進むこと。
軽挙妄動(けいきょもうどう)】⇒軽はずみに、何も考えずに行動すること。
独断専行(どくだんせんこう)】⇒自分だけの判断で勝手に行動すること。

以上、5つの類語を紹介しました。共通しているのは「軽はずみな様子・考えが浅い様子」といった意味です。

四字熟語以外では「単純・愚直・無鉄砲・バカ正直」などの語も「類語」に含まれます。いずれもネガティブな言葉が「類語」となっています。

直情径行の対義語

 

逆に、「対義語」としては次の2つが挙げられます。

熟慮断行(じゅくりょだんこう)】⇒十分に考えてから、思い切って実行すること。
思慮分別(しりょふんべつ)】⇒物事を注意深く考え、判断すること。

こちらは「よく考えてから行動する」という意味の言葉が反対語となります。「直情径行」とは逆に、どちらも良い意味として使われる四字熟語です。

直情径行の英語訳

 

「直情径行」は、「英語」だと次のような言い方があります。

 

impulsive

be honest in one’s actions

 

「impulsive」は「衝動的な・直情的な」という意味です。また、「honest」は「正直」、「action」は「行動」という意味です。ここから「行動に正直な性格」という訳になります。

例文だと、それぞれ次のような言い方です。

He is an impulsive student.(彼は直情径行な生徒だ。)

She is honest in her actions.(彼女は直情径行な性格だ。)

直情径行の使い方・例文

 

最後に、「直情径行」の使い方を実際の例文で確認しておきます。

 

  1. 彼の何も考えない直情径行な行動にはうんざりするよ。
  2. 彼女は直情径行な感情家なので、思ったことをすぐに口に出す。
  3. 直情径行型の性格だけに、失言には十分気をつけてほしいね。
  4. 普段はクールな彼だが、たまに直情径行的な特徴を見せることがある。
  5. 直情径行型な性格は、男性でも女性でも嫌われてしまうので注意すべきだ。
  6. 喜怒哀楽の激しい人は、一般に直情径行な性格の人が多いと言われる。
  7. 君の直情径行な態度は慎んだ方がいい。相手を傷つけてしまうよ。

 

すでに説明した通り、「直情径行」は原則として悪い意味で使います。多くは「単純な行動をする人」「何も考えずに発言する人」といった思慮が浅い人物を対象とします。

したがって、使う場面には十分注意する必要があると言えます。

間違っても相手へのほめ言葉としては使わないようにしてください。この四字熟語を使うのは、相手を否定するような場面がほとんどだと考えて問題ありません。

まとめ

 

以上、本記事のまとめです。

直情径行」=感情のおもむくままに行動すること。

由来」=戎狄が来る道には、直情径行な者が多いことから。

類義語」=「直言直行・短慮軽率・猪突猛進・軽挙妄動・独断専行」

対義語」=「熟慮断行・思慮分別」

英語訳」=「impulsive」「be honest in one’s actions」

もちろん、時には相手に対してはっきり言うことも必要です。なぜなら、正直な発言が世の中を変えることもあるからです。しかし、この四字熟語が言いたいのはあくまで「考えないで発言するのは愚かである」ということです。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。