この記事の読了目安: 427

公募 募集 違い 応募 意味 使い分け

 

人やモノなどを広く集めることを「公募」あるいは「募集」と言います。また、場合によっては「応募」と言ったりもします。

これらの言葉はどう使い分ければよいのでしょうか?本記事では、「公募」と「募集」の違い、さらに「応募」についても解説しました。

公募の意味

 

まずは、「公募」の意味からです。

【公募(こうぼ)】

広く一般から募集すること。

広く不特定多数の投資家を対象に、新株または公社債を募集すること。⇔私募。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

公募」とは「広く一般から人やモノを集めること」を意味します。例えば、以下のような使い方です。

  • 公募推選で大学に合格する。
  • 公募川柳に作品が採用される。

「公募」は、特定の条件を公表し、その条件に該当する対象を集めます。

上の例だと、「公募推選」⇒「学校の成績や課外活動、人柄などの受験資格を満たした人物」、「公募川柳」⇒「お題やテーマに沿った川柳」などのようなことです。

逆に言えば、条件に合致しない対象は公募されないことになります。

また、「公募」は株式や社債などの金融商品に使われるのも大きな特徴です。最も有名なのが、「公募増資(こうぼぞうし)」です。

「公募増資」とは「50名以上の投資家に、新株を売り出すこと」を意味します。主に会社が資金調達する目的で行われるものです。

募集の意味

 

続いて、「募集」の意味です。

【募集(ぼしゅう)】

広く呼びかけて必要な人や物を集めること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

募集」とは「広く呼びかけて必要な人や物を集めること」を意味します。例えば、以下のように使います。

  • アルバイトを募集する。
  • ボランティアを募集する。

「募集」は、特に条件をつけずに広く一般から集めます。

上の例だと、「アルバイト」⇒「年齢不詳・学歴不問」、「ボランティア」⇒「やる気さえあればOK」といったことです。

また、「募集」の方は「公募」よりも一般的な場面で使われます。先ほどの「公募」は主に改まった場面で使われますが、「募集」の方はもっと一般的でくだけた場面で使われることが多いです。

公募と募集の違い

公募 募集 違いは

 

ここまでの内容を整理すると、

公募」=広く一般から人やモノを集めること。

募集」=広く呼びかけて必要な人や物を集めること。

ということでした。

比較しても分かる通り、両者の意味自体に違いはほとんどありません。ただ、実際の使われ方は異なります。

大まかに二つに分けると、まず一つ目は「条件がつくかどうか」です。

「公募」は、条件が指定されます。そのため、特定の条件に該当する範囲内で広く集める場合に使います。

一方で、「募集」は条件がつきません。「募集」の方は無条件で広く集めるような場合に使います。

そして二つ目は、「使う場面の違い」です。

「公募」の方は、前に「公」がつくように、公式な場・正式な場で使うことが多いです。

具体的に言いますと、川柳や短歌などの「文学作品」、デザインや絵画などの「芸術作品」、株式や社債などの「金融商品」などを集める場面です。

逆に、「募集」の方は「公募」よりも私的な場面で使うことが多いです。極端な話、「彼女を募集中です」などのような使い方もします。「公募」の方はこのような使い方をすることはありません。

なお、「公募増資」とは言いますが、「募集増資」とは言いません。「公募増資」という言葉は、一種の金融の専門用語と考えるのがよいでしょう。

応募の意味

 

似たような言葉で、「応募」があります。

【応募(おうぼ)】

募集に応じること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

応募」とは「募集に応じること」を表します。

「応じる」とは「相手の働きかけに対して、行動を起こす」という意味です。つまり、募集をする人(相手側)に対して申し込むことを「応募」と言うわけです。

主な使い方としては、「懸賞にはがきで応募する」などがあります。この場合はつまり、「懸賞に対してはがきで申し込む」という意味です。

それぞれの違いを整理すると、

公募・募集」=人やモノを集める側の行為。

応募」=「公募・募集」する側に申し込む行為。

となります。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

 

【公募の使い方】

  1. 公募推選ではなく、一般入試で合格を目指す。
  2. この美術作品の愛称は、公募で決まった。
  3. 各党は選挙に向けて候補者を公募している。
  4. 彼女の出した作品は、公募川柳に採用された。
  5. 公募増資によって、株価の下落が加速した。

【募集の使い方】

  1. 部員が足りないため、募集をかけている。
  2. リスナーから大喜利の回答を募集する。
  3. このアパートは、現在入居者を募集中だ。
  4. 会社の募集要項をちゃんと確認してください。
  5. 現在は、第二期のメンバーを募集中です。

【応募の使い方】

  1. プレゼントをもらうために応募した。
  2. 応募要項に従い、懸賞を申し込んだ。
  3. キャンペーン中だったので応募します。
 

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

公募」=広く一般から人やモノを集めること。

募集」=広く呼びかけて必要な人や物を集めること。

応募」=募集に応じること。

違い」⇒「公募」は公式な場で使い、条件を指定する。「募集」は私的な場で使い、条件を指定しない。「応募」は「公募・募集」する側に申し込む行為を指す。

「公募」は「公」という字があるように、「募集」よりも広く公に何かを集めるような際に使います。このように漢字本来の意味を覚えておけば、違いを忘れることはないでしょう。

The following two tabs change content below.

国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

最新記事 by 国語力アップ.com管理人 (全て見る)