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別紙 別添 添付 違い 使い分け ビジネス

 

会社の書類を新たに作るときに、「別紙」もしくは「別添」などと言います。

別紙を参照の上」「別添を参照して~」

さらに似たような言葉として、「添付」が使われることもあります。いずれもビジネスにおける契約書でよく見ますが、一体どう使い分ければいいのでしょうか?

今回は、「別紙」と「別添」の違い、さらに「添付」についても解説しました。

別紙の意味

 

まず、「別紙」の意味を調べると次のように書かれています。

【別紙(べっし)】

別の紙。そのものとは別に添えた紙。

出典:三省堂 大辞林

別紙(べっし)」とは「別の紙。別に添えた紙」という意味です。主な使い方としては、次の通りです。

  • 別紙参照。
  • 別紙に書く。
  • 別紙を用いる。

つまり、メインの書類ではなく、補足的につける紙のことを「別紙」と言うわけです。

一般的には、「別紙」は自作の添付資料を指すことが多いです。例えば、自分で文章を考えて元の書類に付け足すような場合です。

また、「別紙」という言葉はそれ自体が「名詞」です。したがって、「別紙する」などのような言い方をすることはできません。

別添の意味

 

続いて、「別添」の意味です。

【別添(べってん)】

別に添えること。

出典:三省堂 大辞林

別添(べってん)」とは「別に添えること」を意味します。主な使い方としては、次の通りです。

  • 別添参照。
  • 別添の書類。
  • 別添された書類。

こちらは、メインの書類に補足的に書類を付け足すことを表した言葉です。

「別添」は、一般に外部の参考資料を指すことが多いです。例えば、他の資料や書物などのコピー、引用を添付するような場合です。

また、「別添」という言葉は本来は「動詞」です。そのため、正式には「別添」ではなく「別添する」という言い方が正しいことになります。

別紙と別添の違い

別紙 別添 違い 契約書

 

ここまでの内容を整理すると、

別紙」=別の紙。別に添えた紙。別添」=別に添えること。

ということでした。

両者の違いは、二つの点から比較すると分かりやすいです。

一つ目は、「使い方の違い」です。

「別紙」は、主に自作の添付資料をつける時に使います。一方で、「別添」は主に外部の参考資料をつける時に使います。

つまりどちらも補足的な事項ですが、その補足の種類が違うということになります。これは、両者の本来の目的を考えると簡単でしょう。

「別紙」は、メインの書類だけだと物理的に書ききれない場合に補足する紙です。そのため、元の書類とは別ですが、あくまで本来の内容に準拠した自作書類を付け足すのです。

対して、「別添」の方は、メインの書類と関連性があれば補足する行為です。よって、こちらは引用であろうとコピーであろうと関連性があれば外部からも補足するわけです。

そして二つ目は、「文法的な違い」です。

すでに説明した通り、「別紙」は「別の紙」という名詞を表した言葉でした。一方で、「別添」は「別に添える」という動詞を表した言葉でした。

したがって、「別紙する」と書いたり、書類のタイトルに「別添」と書くのは、正式には誤りであることが分かると思います。

ただし、「別添」の方は実際は名詞として使うことも多いです。漢字というのは、多くの人が間違った使い方をすると、それが正解になってしまうことがあります。「別添」などはその典型ということになります。

まとめると、

別紙」=自作の添付資料をつける時に使う。(名詞)

別添」=外部の参考資料をつける時に使う。(本来は動詞)

となります。

補足すると、実際の会社では必ずしも上記のように使い分けているわけではないようです。もしも会社内で統一した基準があれば、それに従うのが無難だと言えるでしょう。

添付の意味

 

似たような言葉として、「添付」もあります。

【添付(てんぷ)】

書類などに、その補足として他の物を付け加えること。

出典:三省堂 大辞林

添付」とは「付け加えること」を意味します。主な使い方としては、以下の通りです。

  • 書類に添付する。
  • 契約書に添付する。
  • メールに添付する。

「添付」は「つけ加える」という動作を表した言葉です。この時点で、名詞を表す「別紙」とは異なることがすぐに分かるでしょう。

また、「別添」との違いですが、意味自体はほぼ同じです。ただし、使い方が若干異なります。

先ほど、「別添」は本来は「動詞」にも関わらず、「名詞」として使うことも多いと述べました。

その理由は、動詞として使う場合は、「添付」を使うことが多いからです。つまり、「添付する」とはよく言うものの、「別添する」とはあまり言わないということです。

これは意味や文法の問題ではなく、慣習的な理由だと言えるでしょう。

「別紙」と「別添」は、漢字の見た目や発音などが似ていてややこしいです。そのため、両者の混同を避けるためにも「別添」より「添付」を使うようになったのだと思われます。

使い方・例文

 

最後に、それぞれの使い方を例文で紹介しておきます。

 

【別紙の使い方】

  1. 別紙参照の上、押印をお願い致します。
  2. 別紙に記載されている内容もご確認ください。
  3. 契約書に書ききれないので、別紙を付け足しました。
  4. 別紙の記入例に沿ってご記入頂くようお願い致します。
  5. 本契約書への補足事項は、別紙を参照してください。

【別添の使い方】

  1. 別添の書類を参照した上で、割印をお願い致します。
  2. 本契約書の関連事項は、別添の書類に記入いたしました。
  3. 別添した書類に地図が記載されていることを確認しました。
  4. 文献の補足資料を別添しましたので、よろしくお願い致します。
  5. 本契約書の違約事項については、別添を参照してください。

【添付の使い方】

  1. 契約書に補足資料を添付する。
  2. 添付された書類も必ず確認してください。
  3. メールに画像を添付するようお願いします。

 

「別紙」は名詞、「別添」は名詞と動詞、「添付」は動詞として使うことがほとんどです。実際のビジネスシーンでは、「別添」を使う機会はそれほど多くありません。それよりも、「添付」を使うことの方が多いです。

なお、ビジネスでは「契約書」を使うことが必須なので、それについては少し補足しておきましょう。まず、「別紙」は自作資料なので自社で契約書を作成した場合は当然契約内容の一部です。したがって、割印などは必須となります。

一方で、「別添」は契約内容そのものではないので必ずしも割印が必要とは限りません。もちろん、どの外部資料を付けるかにもよりますが、基本は必要ないと考えてください。

まとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

別紙」=別の紙。別に添えた紙。(名詞として使う)

別添」=別に添えること。(本来は動詞だが、名詞が多い)

添付」=付け加えること。(動詞として使う。別添よりもよく使われる)

【使い分け】別紙」は自作の添付資料、「別添」は外部の参考資料をつける時に使う。

ビジネスは契約社会なので、いずれの言葉も使われる機会は多いです。ぜひ正しい意味を覚えて頂ければと思います。

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国語力アップ.com管理人

大学卒業後、国語の講師・添削員として就職。その後、WEBライターとして独立し、現在は主に言葉の意味について記事を執筆中。 【保有資格】⇒漢字検定1級・英語検定準1級・宅地建物取引士など。

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